渋谷駅前のんべい横丁酒処「水車」
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第48回 東京大空襲とともに想い出す”大楠公の歌”
 私の年代は、歴史を大切にして来ましたが、戦後は違ってきています。
戦前、戦中、戦後と歴史の捉え方が変わってきたのかもしれませんね。戦時中は、歴史とはいわず国史といっていました。日本国の史ということです。
 その当時、私が小学校の頃に盛んに歌った歌があります。教科書に載っていて、学芸会などでも学んだ歌です。

 『大楠公(だいなんこう)』という歌で、楠木正成と息子の正行の別れを歌った歌です。それは、涙なくしては歌われません。

 昭和20年3月10日、東京大空襲がありました。
 疎開命令が出てからしばらく経った戦火もいったん落ち着いていた頃で、私と父は疎開先の和光市から、ちょうど亀戸に戻ってきていたときでした。

 3月9日の夜に最初の空襲があり、父は「急いで逃げなさい」と私に言いました。私は近所の家族と一緒に小松川の橋で夜を明かしました。その後、学校に避難しました。二晩、父とは会えないまま過ごしました。

 翌日、学校の大きな講堂に次から次へと、怪我をした人たちが担架で運ばれてきました。父もどこかで怪我をおってはいないだろうか、父は無事だろうか、死んでしまっているのだろうか、そう考えると眠れずに、泣いて夜を過ごしました。
 そのとき父は亀戸中、東京中を、2日間私を探し歩いていたそうです。

 2日後の11日に、私は一緒に逃げた近所の家族と避難していた学校を出て家に戻ってみました。
 亀戸は何もない焼け野原になっていて、ずっとずっと遠くまで見渡せました。 そして、遠くのほうにいる父の姿を見つけました。
 そのとき、お父さんが生きていた、生きていてくれて良かった、という想いでいっぱいでした。父もそうだったと思います。

 父は私に「早く田舎に帰りなさい」といってくれました。
 米穀商をしていた父は、米の配給など残ってやらなければいけない仕事、父の役目がありました。その父と再会したときのことが、大楠公の歌の歌詞そのままで、自分の体験と重なって、今でも思い出すと涙をこらえることができません。

 正成涙を打ち払い
 我子正行呼び寄せて
 父は神戸へ赴かん
 彼方の浦にて討死せん
 汝はここまで来れども
 とくとく帰れ故郷へ
               (大楠公の歌より)

 その後、私はその足で田舎のある和光市まで帰りました。亀戸のあたりは電車が止まっていたので、亀戸から電車が走っているお茶の水だったか、秋葉原まで一人で歩いて行きました。

 途中、いろいろな光景を目の当たりにしましたが、なかでも鮮明に残っているのは、空襲で死んだ人たちが山のようになっていたことです。死んだ人たちが炭団のように山積みになって、焼け野原のあっちにもこっちにもあるのです。全身に火傷をおった人たちも大勢いました。着ていたものは全て焼け、全身の肉がなく真っ黒に焼けこげ、虫の息だけをしている人もいたのです。

 当時、私は15歳でした。一人、そのなかをただただ歩き、今を生きることだけを考え駅を目指して歩きました。私は生きていてよかったと思い、生きることだけが精一杯でした。

 同年代の人のなかには、二度と戦争にあいたくないから早く死にたいといっている人もいます。戦争を経験している人間の本心だと思います。

 8月15日は終戦記念日でしたが、私にとっては思い出したくない日です。それはそれは酷い体験をしているので、8月15日でなくても、ふと一人でいるとき、当時のことを思い出すことがあるからです。頭のなかに当時の様子がしまってあって、普段はそれにフタをしているだけなのです。大楠公の歌を思い出せば、当時のことが昨日のことのように蘇ってきます。私たちは、今このときも戦争を引きずっている日々なのです。

 ただ、私は戦争のことを次の世代に伝えなければいけないと思っています。今の若い人たちに伝え、若い人たちから次の世代の子供たちへ歴史と戦争、真実を伝えてほしいのです。そして二度と戦争を起こしてほしくないのです。
戦争は本当に人生を狂わせます。戦争を防ぐにはまず選挙に行ってほしいのです。

 親があって子供がいて、子供がいて親がいます。平和な世の中が続くよう、戦争、歴史を知ってほしいと思っています。

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